■デジタルBOOK■鯨の腹の中で

商品名 : ■デジタルBOOK■鯨の腹の中で

価格 : 800円 (税込 864円)

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監訳者のことば
 本書はペンギン・クラシックス版『鯨の腹の中で―ジョージ・オーウェル評論集』の全訳である。収録されているのは、ヘンリー・ミラーの『北回帰線』を論じた『鯨の腹の中で』をはじめ、イギリス社会とその国民性を愛情深く論じた『イギリス、君のイギリス』、ビルマ時代のほろ苦い体験を綴った『象を撃つ』など、オーウェル選りすぐりの文芸評論、社会評論、エッセイが並ぶ。多岐に渡るオーウェルの評論の秀作中の秀作を網羅していると言っても過言ではない。その思想の全体像を知るには格好の一冊と言えよう。

 しかし、なぜ今オーウェルなのだろう。オーウェルは半世紀も前の作家だ。ここに収められている評論も、第二次世界大戦に前後して書かれたものばかり。確かに『1984年』は衝撃的だった(らしい)。
  だが小説の舞台になった未来社会より、さらに20年も先の未来に来てしまった現在の社会では、一般の人にとっては文学史上の一知識ではあってもそれ以上ではありえない。『動物農場』にしても、脳裏に浮かんでくるのは、そういえば大学受験用の英文解釈のテキストにあったなあという感慨ぐらい。評論という同時性が大きなウェイトを占めるジャンルではなおさらだろう。

 ところが今回再読して驚いた。論じられているのはヘンリー・ミラーであり、戦時下のイギリスであり、トルストイとシェークスピアであり、『ガリバー旅行記』であり、英語であり、昔の少年週刊誌なのだけれども、オーウェルの鋭い時代を見通す目は、さらにその先の個人の自由と自律を見つめている。真に自由で自律的であるとはどういうことか。自由に対し、全体主義がどんなに大きな脅威であるか。それは50年前のイギリスに限った問題ではない。いや、奇妙なほどこの現代社会に符号する。いまさら自由なんて、自由は自明のものではなかったのか。そうした慢心に冷水が浴びせられる。

  全体主義が決して根絶されたものではないこと、より洗練され、巧妙な形になって、今も人々の心に忍び寄ろうとしていることにあらためて気づかされる。原理主義というのも形を変えた全体主義ではないのか。

 オーウェルの著作は20世紀前半という特異な時代を鮮やかに切り取りながら、人間社会の本質を見事に描き出しているのだ。その筆致は冷徹だが、真摯で温かい。まさにクラシック=古典である。

 最後に本書の訳出は、柏倉美穂さん、吉川長命さん、工藤潤子さん、小澤朱さん、井上和男さん、中島美樹さん、津守由香さん、深井直子さん、市川勝行さんの9人が分担して行った。監訳という作業は想像をはるかにこえて難しく、迷いと後悔の連続だった。一語を変えると全体も変えねばならなくなる。こんなに長い時間がかかってしまったことにあらためてお詫びしたい。



《オーウェル選りすぐりの評論鯨の腹の中で〜Inside the Whale》
原題 :Inside the Whale
著者 :George Orwell 1903-1950
共訳者:市川勝行、井上和男、小澤朱、柏倉美穂、工藤潤子、津守由香、
    中島美樹、深井直子、吉川長命
監訳 :菅野佳子

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