■デジタルBOOK■狭き門

商品名 : ■デジタルBOOK■狭き門

価格 : 700円 (税込 756円)

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監訳者のことば
 『狭き門』という謎をめぐって

 よく「古典とは繰り返して読むに値する本のことだ」と言われますが、それは古典が永遠に汲み尽くすことのできない「謎」を秘めているからではないでしょうか。意味が定着してしまったとたん、その本は内部の生命力を失い、二度と読み返されることはありません。生きた古典とは、人生のあらゆる時期に新鮮な驚きをもって読み返すことができ、まったく異なる意味をそこに見出すことのできるような「強い」書物のことだと申せましょう。

 今回のワークショップで年齢や性別の違う大勢の受講生の皆さんと一緒に読み返してみて、この『狭き門』がそうした意味での古典の名に恥じない傑作であることを改めて確認しました。「地上の愛を拒絶し、ひたすら神の美徳を求めて孤独のうちに死んでいった現代の聖女伝」という、これまで漠然と抱いていた紋切り形の解釈は、受講生の皆さんの自由闊達な意見を聞きながらテキストを読み進めていくにつれて、根本から再検討を強いられることになったのです。なにしろ「ここでジェロームがもう一押しすればなんとかなったんじゃないか」とか、「キリスト教ってなんて残酷な宗教なんでしょう」とか、「アリサのような意固地な人は私だんだん嫌いになってきました」という発言まで飛び出してくるのですから。

 簡潔かつ明晰でありながら、多様な、時として正反対の解釈を許容するテキスト。ここにジイドの文章の秘密があります。語り手ジェロームの回想、複数の登場人物の書簡、アリサの日記といった異質の断片の組み合わせから成るテキストは、絶えず読み手に向かって様々なレベルの「問い」を発し続けています。作者自身の「答え」は深い沈黙によって隠されていることに注意しなくてはなりません。その沈黙の重みを感じつつ、読み手の精神が生き生きと躍動し、自分なりの「答え」を求めてやまなくなるところに、この小説を読む愉しみがあるのではないでしょうか。

 このような小説を翻訳するに当たって、分担訳は論外です。各自の異なる解釈によって作られた訳文を機械的につなぎ合わせても、とうてい読めたものではありません。そこで担当分の試訳を提出して戴いた後、もう一度他の全員の解釈を問い直し、常に原文に立ち戻りながら、一節ごとに修整を加えていきました。その際、原文の一つ一つの言葉の持つ象徴性やイメージ喚起力を最大限に生かし、冗漫で行き過ぎた説明を削り取ることが作業の中心だったように思います。いわば、混沌をくぐり抜けた簡素さを目指したわけです。

 「明晰さ」と「謎」を同時に感じられるような透明感が訳文のすみずみまで行き渡っていれば、この試みは成功したと言えるでしょう。
どうかご期待ください。



《あなたの心はどれほど翻弄されたでしょう?狭き門〜 La Porte etroite》
原題  :La Porte etroite
著者  :Andre Gide 1869-1951
共訳者:伊原隆弘、江村諭実香、太田佐絵子、玉川万里子、仲田実、高柳弥生子、宮澤実穂、村上真希
監訳 :藤井建史

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