■デジタルBOOK■「彼女と彼」

商品名 : ■デジタルBOOK■「彼女と彼」

価格 : 700円 (税込 756円)

著:George Sand、共訳:伊原隆弘、柏内典子、平林あけみ、布施久美子、與田恵、監訳:岡崎晴美

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監訳者のことば
 『彼女と彼』

 本書は、George Sand: ELLE ET LUI (Edition du Seuil, octobre 1999) の全訳である。

 『彼女と彼』は、ミュッセとの熱狂的恋愛を題材にしたサンドの半自伝的小説であり、サンドが五五歳のとき(一八五九年)に書いた作品である。二人が出会ったとき、ミュッセは二二歳、サンドは二九歳だった。ミュッセはロマン派の早熟な天才詩人であり、社交界きっての美男子かつ遊び人で知られていた。サンドは、一八歳で地方の貴族と結婚して二人の子供をもうけるが、結婚生活の破綻後、パリに出て文筆活動を始め、新進作家として有名になっていた。二人はある晩餐会で出会い、急速に恋に落ちる。

 やがて二人は、世間から「ヴェネツィアの恋」と注目を浴びるイタリア旅行に出かける。より深い絆を求めて憧れの地に旅行した二人であったが、次々と二人を襲う病気によって、彼らの甘い夢はすぐに打ち砕かれてしまう。サンドが病気になると、退屈したミュッセはヴェネツィアの売春宿に足繁く通い、ミュッセが病床に伏すと、サンドはイタリア人医師パジェッロと熱心にミュッセの看病をするうちに恋仲になってしまう。嫉妬に狂ったミュッセは、サンドをパジェッロに託し、一人イタリアを発つ。

 しかし、二人の仲はこれで終わったわけではなかった。やがてパリで再会した二人は、互いへの断ち切れぬ思いを再燃する。が、結局は以前と同じように、ミュッセの嫉妬や疑念によって喧嘩や口論を繰り返すだけで、サンドは身心憔悴し、絶望の淵まで追いやられる。そして、ついに別れを決意し、一人故郷のノアンの館に帰ってしまう。

 これが、サンドとミュッセの激しい愛の物語である。『彼女と彼』の中では、ミュッセはローランとして、サンドはテレーズとして、パジェッロはディック・パーマーとして登場する。もちろん小説であるので、細部は事実とは異なるが、人物描写の点では、懐疑主義で神経症のローラン、誇り高く母性愛の強いテレーズ、寛容で善良なパーマーなど、ミュッセやサンドやパジェッロの実像に通じるようだ。もちろんタイトルが示すとおり、これは「彼女と彼」の物語である。サンドが自分のことをひいきめに書いていることは否めない。ミュッセに関しては、かなり容赦なく書かれているようだ。

 実際、『彼女と彼』はミュッセの死後二年後、一八五九年に出版されると、ミュッセの親族や友人から激しい抗議を受ける。憤ったミュッセの兄、詩人のポール・ドゥ・アルフレッドは、同年に、『彼と彼女』を書いて弟を弁護している。

 また、ミュッセ自身も一八三六年に発表した『世紀児の告白』の中で、サンドとの恋の体験を書いている。同じ恋愛をミュッセの側から読んでみるのも面白いかもしれない。

 それにしても、半自伝的というだけあって、本書にはサンドの人間性や恋愛観が至る所に現れているようだ。つねに相手の気持ちや先々のことまで考えて行動する、その想像力と知性の深さ、決して相手に依存しまいとする独立心、そのくせ母性愛が人一倍強く、情にもろいという弱さ。日常生活を大切にし、こつこつと勤勉に仕事をすることを好むテレーズと、放蕩に溺れ、生みの苦しみにもがく天才芸術家ローランとの対比も面白い。単に感性の鋭い芸術家同士の深い愛憎劇というだけでなく、ロマン派という時代に生きた芸術家の光と影もよく描き出されている。

 今回の新訳にあたっては、川崎竹一氏の『彼女と彼』(初版一九五〇年、岩波書店)を参考にさせて頂いた。こちらは、二〇〇四年に岩波文庫から復刻版として出版されている。また、テキストの解釈に際し、岐阜日仏協会フランス語講師のジャン・フランソワ・マスロン氏に適切な助言を頂いた。感謝の辞を述べたい。

 訳出に関しては、五人の訳者が三章ずつ担当し、私が監修を務めた。旧漢字・旧仮名遣いにあふれた既訳しかなかった本書が少しでも読みやすい現代訳になったことで、一人でも多くの人々に読んでもらえたらと思う。



《恋多き女性として知られるジョルジュ・サンドの自伝的小説「彼女と彼」》
原題  :Elle et Lui
著者  :George Sand 1804−1876
共訳者:伊原隆弘、柏内典子、平林あけみ、布施久美子、與田恵
監訳  :岡崎晴美

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